前回、ピーク電力を抑えるための施策を考えましたが、今回はその中に上がっていたステア用サーボモータの自作についてです。
機構を考える
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M2ねじとナットによる直動機構 |
以前使っていたRCサーボモータ(SG90)は角度維持のために常に電圧をモータにかけておく必要がありました。電源に余裕があれば問題ないですが、今回はそこまでの余裕が無いため電力を使わずに位置を固定できるような機構を採用しました。
今回はネジとナットを使用した直動機構を作成しました。外部からステア角を変えるような力が加わったとしてもナット自体の位置は動かず、逆にねじを回せばナットの位置が変わる仕組みになっています。この仕組みにより所定の位置になったらモータの電圧を落とせるため、消費電力を落とす狙いです。
位置決めについては、ねじの回転角度が分かるように光学式エンコーダを入れます。本当であれば、ナットの位置が分かるようなセンサを入れるべきですが、機構が思いつかなかったのでやむなしです。
光学式エンコーダを作る
今回は光学式エンコーダについても自作します。光学式エンコーダには発光部と受光部を同じ面に配置する反射型と対面に配置する透過型がありますが、スペースの都合上今回は反射型としました。センサについては実装面積の都合によりNJL5901ARを2つ使用し2相式としました。これはカウント値と回転方向を知るための施策です。
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反射板(兼ギア) |
エンコーダの反射板ですが、最初は白黒の紙を貼っていましたが黒でも相当反射を拾ってしまうことが分かりました。また今回反射板作成に使用したVisiJet® M2R-TNは赤外線を結構反射していることもわかりました。結果として、反射部分をぎりぎりまでセンサに近づけ(設計時で0.5mm程度)、それ以外の部分は穴をあけたり黒く塗ったりして赤外光が反射しないようにしました。また、反射板の外周にはM0.5の33枚歯のギアをつけており、反射板と駆動用のギアを兼ねた構造にしています。反射する部分としない部分は3つづつ作成し、結果として1周24カウントとしています。
実際に作成した反射板(裏面) |
回路側は抵抗とフォトトランジスタの電圧変換回路を入れたうえで、後段にコンパレータを入れただけのシンプルな回路としました。電圧変換回路の抵抗値は調整が必要でしたが、それさえできれば特に問題なく動いています。本当であれば電圧変換後にフィルタやゲインアップを行い、チャタリング防止等の回路も入れるべきですが、今のところはなくても問題なさそうです。
動作確認
それっぽい感じには動きました。波形等も特に問題なさそうです。また意図した通り、電源を切っても位置は固定されたままなので、動作時の電源OFFも問題なくできそうです。
次回
今回は光学式エンコーダを作成しました。裏でこれ以外の試作したりもしていたりしましたが、結構失敗しています(モータのピニオンギアを自作して失敗、反射板とフォトトランジスタのギャップを1mm程度にしたら電圧波形が全然変化しない、抵抗値を上げすぎて電圧波形ピークが小さすぎるetc)。オペアンプで波形増幅+オフセット調整+フィルタ等を行えばよかった等の反省点もあるのでそのうち反映したいなと思います。
次回はそのほかの省電力についても見ていきたいと思います。
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